【20TH つながる魂のうた】他団での初演エピソード こどもたちのひみつ

「私の初演エピソード」第1,2弾では、CAで演奏した初演曲についてお送りしましたが、第3,4弾はCAの枠を飛び出して、他団体で経験した初演曲についてのエピソードをお送りしたいと思います。

第3弾は「合唱変態」の名を轟かす?アルトのちゃこに、思いを綴っていただきました♪


1991年、私は中学1年生でした。
モーツァルト没後200年を記念する年、私が所属していたNHK東京児童合唱団も、定期演奏会でモーツァルトをたくさん歌おう!ということになりました。

それで中学生以上で歌うことに決まったのが、私たち中1・中2にとっては直近の演奏旅行で歌った曲。
生意気にも「仲良しの中1・中2だけで練習して、他の曲も歌いたい!」と指導者にお願いしました。
今となっては巨匠のおひとりですが、当時の若く新進気鋭の作曲家、鈴木輝昭先生に白羽の矢を立て、こどもたちの無理なお願いを急ピッチで(うろ覚えですが、確か1か月くらいで…)叶えてくださいました。

その時から、私たちは鈴木輝昭先生が大好きです。たとえその後どんな難しい曲をいただこうとも。
こどもなのを良いことに「てるあきせんせい」「てるてるせんせい」と親しくお呼びしていました。

「てるあきせんせい」といっしょに

児童合唱団時代、手書きの楽譜の記憶や、どんどん修正が入る歌の思い出をたどると、膨大な数の曲の初演をしていたのだと思いますが、
そんな気負いはこどもにはなく、ただただ目の前にある歌を歌っていただけでした。
もしかしたらこどもたちの歌う様子によって、指導者と作曲家で「作り上げる作業」をしていたのだと思いますが、よく知らないまま過ごして来てしまいました。

でも、この「モーツァルトの百面相」だけは別なのでした。

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こどもの私たちもよく知っているモーツァルトの曲のモチーフがたくさん入っていて楽しい曲。
初演時は歌詞がなく(現在出版されているこの曲の歌詞は、数年後に作詞家の方につけていただいたものです)、ラララや階名、訳詞のほか、こどもたちのここはこんな歌詞を入れて歌いたい」という希望にてるあきせんせいが「いいねー!」と叶えてくださった部分もありました。
まさに、作曲家の先生と相談しながら一緒に作らせていただいた、と思っています。

■私たちだけの秘密の歌

今出版されているこの曲の歌詞は、初演から4年ほど後に、山川啓介先生に書いていただきました。
私は偶然にもその時のレコーディングにも参加していました。
実はレコーディング当日に、スタジオに少しずつ歌詞がFAXで送られて来たのですが、モーツァルトの伝記を読んでいるような、愛にあふれた歌詞もとても魅力的でした。
初演の、てるあきせんせいと一緒に作った歌詞で歌われることはもうないと思い、少し淋しい気もしましたが、
同時に、あの初演のバージョンは私たちだけの秘密の歌になったんだと、不思議に楽しい気持ちにもなりました。

気持ちが詰まった宝物

こんな風に、初演であり、こどもたちの希望・遊び・楽しみもたくさん込めて作ってくださった曲は、今でも宝物です。
数年前、区民センターで合唱の練習をしていた時に、偶然にも隣の部屋からこのモーツァルトの百面相を歌うこどもたちの歌声が聴こえてきて、とても嬉しく思いました。
今回のコンサートで生まれる新しい曲も、多くの方の心に届き、長く歌われる曲に成長したらと願っています。

☆ ☆ ☆ ☆

CANTUS ANIMAE The 20th Concert
つながる魂のうた
―3人の若手女性作曲家による新作の響演―

日時:2016/5/8(日)
開演:13:30 (開場:13:00)
会場:第一生命ホール 全席自由
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入場料:一般2,500円 高校生以下1,000円

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