【第一回ソロコンサートの感想】思いを言葉に
02月22日(水)
はじめまして。
バスかテナーの西村です。
今月2月8日に、記念すべき!?第一回(第二回あるかは未定)のソロコンサートがありましたので感想を書きます。
ソロコンサートとは、
「誰かに頼るのではなく個々で歌える合唱団にならないといかん!」
というコンセプトのもと、
ある団員の酔った勢いで、その場で日程と会場が押さえられてしまったがために決行された、
団員1人だけで好きな曲を歌い上げる演奏会です。
今回僕が歌ったのは、
Schumannの
Dichterliebe(詩人の恋)より
15.Aus alten Märchen winkt es(古いメルヘンから手招きをしてくる)
という曲。
iPhoneのクラシックアプリに入っているのを聴いて一耳ぼれしたのと、ドイツ語と高音域を鍛えるためにこの曲にしました。
ソロコンサートですので、この曲の練習はほとんど一人でするしかありません。1人でカラオケに行ったり、会社の空き部屋を見つけて歌ったりしました。
本番は団内だけのコンサートでしたので、緊張はしませんでしたが、やはり練習は嘘をつきませんでした。
高音域は低音と同じポジションで出せるようにはなったものの、ドイツ語がついてきませんでした。
ドイツ語の子音は自分では発音しているつもりでも、そうとう出さないと聴こえないことが改めてわかりました。
今回の演奏会で他のメンバーの演奏も聴いて、特に大切だと思ったのが、
言葉に思いをこめることです。
話している言葉の意味はわからなくても、思いがこもっているかどうかは必ず聞き手に伝わります。
僕の演奏は早口なドイツ語を機械的にしゃべることに力を注ぎ過ぎて、そこに込められた思いを伝えるまでには至っていませんでした。
言葉に思いをこめるとは、もっとも基本的なことですが、今回のソロコンサートでその重要性を再認識することができました。
合唱は複数人で行いますが、良い演奏は個々の力があってこそ成り立つものです。
今回のように誰にも頼らず自分の声に向き合う時間をまた持てたらと思います。
初投稿、まじめですいません。
20世紀の名曲を歌う会
02月02日(木)
管理人です。
当団音楽監督 雨森先生のお膝元である岐阜で
とても熱い企画が立ち上がっているのでご紹介します。
『20世紀の名曲を歌う会』
音楽監督・指揮 : 雨森文也
ピアノ : 平林知子○演奏会
2012年5月20日(日)
サマランカホール○演奏曲目
『ひたすらな道』 (高田三郎)
『筑後川』(團伊玖磨)
『島よ』(大中恩)
『海の詩』(廣瀬量平)
※公式ブログより情報抜粋。
今では演奏される機会が少なくなってきた名曲をもう一度掘り起こしていこうという
大変意欲的なプログラムになってます。
特定の合唱団に限らず広く参加者を募集し
約一年間かけて練習を行っていくというプロジェクト形式の合唱団というところも特徴的ですね。
東海地方だけでなく、東京や関西からも人が集まっているという噂も(笑)
演奏会はもう少し先になりますが、
ご興味のある方は公式ブログをご覧下さい。
毎月の練習日記などがアップされています。
【合唱ライフレシピ】第2回:団内調査は伝助で
01月12日(木)
管理人です。
連載:「合唱ライフレシピ」の第2回は団内調査についての取り組みをご紹介します。
一般の合唱団を運営していくにあたって大変なことの一つが、
出欠の確認やもろもろの意見集約ではないでしょうか?
具体的には、
- 演奏会打ち上げへの出席者数調査
- 楽譜を団体購入する場合の希望者調査
- 団内アンケート
のような場面のことになります。
あれこれ思い浮かびますよね?
CAでは平均でも月に2,3回はこのような調査があります。
学生の合唱団など、ほぼ毎日顔を合わせている団体であれば直接聞きまわればいいかもしれませんが
週一回、月数回というタイミングでしか集まることのない一般合唱団では
直接聞くのはあまり現実的な方法ではありません。
多くの団は、練習時間外にメールなどを使ってこの調査を行っているんじゃないかと思います。
調査で取りまとめをする役回りになった人がするのは、一般的に以下のような作業手順になるでしょうか。
- 団内メーリングリストに調査メールを投げる。
- 一人一人からメール返答を受けとる。
- 返事のない人に催促を出す。
- 表にして集計する。
- 全体に集計結果の連絡
これ、結構根気のいる作業ですよね(^^;)。
団員数の多い合唱団なら尚更…。
このような作業を少しでも効率化するために
CAでは団内のもろもろの調整ごとに伝助というサービスを利用しています。
伝助の活用
詳しい使い方は伝助の利用方法をご覧いただければわかると思いますが
スケジュールの調整用に作られたサービスで簡単なアンケートページを作ることができます。
CAではこの伝助で作成したアンケートページのURLを団内のメーリングリストなどで連絡します。
今回は試しに演奏会で注文するお弁当について調査するアンケートページを作ってみました。
URLは以下になります。
http://densuke.biz/list?cd=mFcmqWSLf4SvnHPb
※足跡代わりに入力頂いても構いませんが、お弁当は注文しません(^^#)
このページにアクセスして回答してもらうことで、注文数を集計することができます。
これによって先ほどの作業手順のうち、以下の通り2,4の手順が省略できることになります。
- 団内メーリングリストに調査メールを投げる。
→アンケートページのURLを合わせて連絡する。 一人一人からメール返答を受けとる。★省略★- 返事のない人に催促を出す。
表にして集計する。★省略★
→伝助のアンケートページで自動的に集計される。- 全体に集計結果の連絡
これだけでも、取りまとめをする役の手間が減りますよね。
まあ、そんなことよりも3が一番大変なんだよ。という意見もあるかもしれません。。。
そこは団員に任せるしかないですね。
伝助の便利なところ
上記以外に、CAが伝助を利用している理由は以下のようなところでしょうか。
- アンケートの自由度が高い
もともと日程調整をすることを目的に作られたサービスなのですが
実は、日程調整以外のことにも応用可能です。
先ほどのお弁当注文のアンケートもそうでしたね。
改行区切りで選択肢を並べていけば自在にアンケートを作ることができます。 - csv出力ができる
入力された情報は自動でページ上に反映されて選択肢毎に○や×、△の数が集計されます。
これだけでも十分便利なのですが、
エクセルなどで、もっと複雑な集計をしたい人のためにcsvでの出力も可能になっています。 - PC・携帯問わず利用できる。
パソコンでも、、携帯でもスマートフォンでもアンケートページのURLにアクセスすれば回答が可能です。
実際のところ一番の理由はこれですね。
同じような機能を持ったウェブサービスも探せば沢山あると思いますが、
多機能過ぎず、シンプルにやりたいことだけを満たしてくれるようなところが個人的には気に入っています。
伝助って名前も、愛着が持てていいじゃないですか!(完全に私感)
もっとすごいサービスや、伝助の活用法があるぜ~という
全国の合唱団の皆さん、メッセージをお待ちしています!!
【合唱ライフレシピ】第1回:オーダー表をCacooで作ってみた。
01月05日(木)
管理人です。
CAにはいろいろな人材がおりますので、
いろんな側面から記事を書いていけたらなと考えているのですが
まずはその第一弾として、管理人の私より記事を書かせていただきます。
今回のテーマは合唱団におけるオーダー表作成です。
ステージでのオーダー表(並びやフォーメーションなど、呼び名が様々ですがここではオーダーで統一)は奇麗な並びを作るのになくてはならないものですよね。
管理人の学生時代には鉛筆と定規で作っていた記憶があります。
また、卒業後一般の合唱団に入ってからはエクセルのマス目に名前を入力して作ることが一般的でした。
他にもVisioという図面作成ソフトを使って奇麗な表を作る人もいましたし、
あれこれパターンを考えるのに団員の名前を書いた付箋をペタペタ貼り替えつつ作成したこともありました。
管理人はCAのオーダー係もしており、
個人的には毎回エクセルでオーダー表を作ることに少々不便さを感じていました。
そこで思い立って、
昨年の青森での全国大会の時にCacoo(カクー)というWEBサービスを利用してみたのですが
なかなか便利だったので、こちらにレポートしようと思います。
エクセルでのオーダー作成
全国大会一つ前のステージ。都大会で作成したオーダー表のひな型がこちらになります。
8間5段の山台上に大きな弧を作ってメンバーを並ばせるオーダーです。
一人一人が均等な間隔を保ちながらどの山台のどこの位置に並ぶのかをエクセルのマス目を使って表現したのですが
セルの結合などをつかったので、思ったより作り上げるのが難しかったです(^^;)。
Cacooでのオーダー作成
CacooはWeb上でお絵描きができるツールです。
使い方に関してはこちらやこちらを読んでみてください。
便利な点は色々とありますが、
私が惹かれたのはパワーポイントのオートシェイプのような操作感覚で図が作成できるところとWeb上で共有できるというところです。
Cacooを作って実際に作成したオーダー表のひな型がこちらになります。

※クリックで大きくなります。
ひな形の作成手順はこんな感じです。
- 山台
連盟さんから送られてきたステージの図表をもとに、山台を作ります。
これは四角形のステンシル(※オートシェイプのようなもの)を山台の板に見立てて並べていきます。
後ろ2列は縦の幅が少ないので、ステンシルの大きさを変えて表現しました。 - 人の配置
人の表現には○型のステンシルを利用しました。
人数分の○を図面上に貼り付けたら、全体的に大きな弧を描くように並べて
一段に何人くらい乗るのか?左右の人数が対象になっているか?などを確認します。 - 間隔調整
1-4段目の山台を全体的に使って並ぶという方針があったので、およそ一つの板の中に2人ずつの間隔で立つことにしました。
また、前後の列で人が被らないようにしたかったので
2,4段目の人は板の継ぎ目を跨ぐか板のセンターに立つ。
1,3列目は板を4等分したとして1/4,3/4の位置を跨ぐように立つ。
という方針で○の位置を調整していきます。
Cacooはタテヨコでステンシルの位置がそろうように補正を促す機能があるので、この作業も簡単に行うことができました。
ひな型ができたら、これを先生やパートリーダーに見てもらい
パート別に色分けや名前を入力して完成となります。
完成品はこのようになりました。※名前の部分は黒塗りにしています。

※クリックで大きくなります。
修正と共有
完成版オーダーとひな形を比べると結構変更が入っていることが分かりますね。
そう、オーダーはどんどん変更されるものなんです(^^;)
仕事の都合で急遽オンステできなくなったメンバーが出たり、
実際に歌ってみるとしっくりこなかったり、
色々な理由でオーダーは変わっていきます。
修正されたオーダーは、都度Cacooにアクセスしてちょこちょこ修正していきます。
最後に編集が入ったのは本番前日の飲み会の場でしたが、
ノートパソコンの画面を見ながら、こっちの方が歌いやすい!こっちの方がきれいに見える!と
みんなでワイワイとオーダー編集をしていたのが思い出されます。
修正した図は、同じURLでWEB上に保存されているので
パソコンやスマートフォンなどでアクセスすればその時の最新のオーダーを確認することができます。
※団員からガラケーだと上手く表示できないとの報告がありました。
今回、旅先でプリンタの確保が難しかったため、オーダーのプリントアウトは行わずに
スマートフォンを持っているメンバー(CAでは半数以上)がまわりの人に見せてあげるように頼みました。
本番当日も新しいオーダーでスムーズに並べていた?みたいです。
プリントアウトを行う場合は、オーダーを画像ファイル形式で落として来て
エクセル等に貼って印刷すれば簡単に作成できます。
有料版ではpdfでの出力もできるようです。
今後の展望
今回Cacooを使ってみて、なかなか手軽にオーダー表を作れることがわかりました。
CAでは昨年末の演奏会でもCacooを利用していますし、
もっとノウハウがたまってきたらまた記事を書こうかなと思っています。
他でも利用されている方がいましたら、是非情報をお寄せ下さい。
それでは
2012年の活動予定
12月31日(土)
■CANTUS ANIMAE 2012年活動予定
2月8日(水)団内ソロコンサート(団内イベントのため非公開)
3月18日(日)音楽都市こおりやま全国合唱祭@郡山市民文化センター
8月11日(土) The 16th CONCERT@杉並公会堂
9月17日(祝・月) コンクール都大会@文京シビックホール
11月25日 (日)合唱コンクール全国大会@富山市芸術文化ホール・オーバードホール
※2011年12月31日時点の情報です。
演奏会に関しての”つぶやき”をお待ちしています!!
12月22日(木)
管理人です。
いよいよ、第15回演奏会が明日に迫ってまいりました。
期待に応えられるよう中の人たちは水木と集中練習に励んでおります。
さて、
演奏会前の期待ツィートや終演後の感想ツィート、応援メッセージ、曲への思い入れなどなど
みんなでワイワイと共有したら楽しいんじゃないか?
ということで、
今回の演奏会におけるtwitterのハッシュタグを以下に決めました。
#CA15th
上記文字列をツィートの中に入れてもらうと
サイドバーのCA15th TWEETSボックスの中にも表示されます。
また、twitterからも簡単に検索が可能です。
公式アカウントや団員も合間合間に呟くかもしれません。
皆様からのたくさんの”つぶやき”をお待ちしております!!
合唱初心者のための「五つの童画」~その6~
12月14日(水)
五つの童画の解説シリーズ 最終回です。
今回は、今までのシリーズを読んでいただいて、十分に内容を理解していただいた方に向けて、
しっかりとした解説を書かせていただきますー!
一応、今までの解説(第4回の解釈を除く)には、それぞれ裏付けがあるのですが、
難しいことは、とりあえず書かない、という前提で、このシリーズを進めてきましたので、
最終回はそのまとめとして、詳しい情報を記載したいと思います!
1)作曲の三善晃先生の経歴
作曲家である三善晃氏は、1933年生まれ。3歳より自由学園生活団で伊勢茉莉子氏、羽仁もと子氏にピアノの指導を受け、4歳で平井康三郎氏に師事、本格的に作曲とピアノ、ヴァイオリンを学ぶ。太平洋戦争をはさみ一時中断後、1947年14歳で、平井氏の元で勉強を再開。三善氏が幼少時に平井氏から学んだのはドイツ学派の音楽である。
1951年東京大学教養学部文科二類に入学後、翌52年19歳で、レイモン・ガロワ・モンブランに師事。53年にブランス文学科に移り、その年に「トリオ・ソナタ」で第22回音楽コンクール作曲部門1位受賞、54年に毎日音楽特別賞、第三回尾高賞、芸術祭奨励賞を受賞し注目を集める。55年~57年にフランス給費留学生としてパリ国立音楽院に留学。アンリ・シャランのクラスに入る一方、モンブランに個人的に学ぶ。57年11月帰国。
2)留学後の三善晃先生の作曲技法
「3年間の留学中に学んだことはただ一つである」と語っている。「当たり前のことだが、自分は(日本から見ての)外国人ではない、ということだった。」と。
自分の「音」は西洋にはない、と感じたという三善氏は、留学後、日本の作品を研究し、陽旋法、陰旋法(庶民が使った日本音楽の古典的な音律。中国から来たもの)、呂と律(邪楽など神聖な場で使われた日本の古典的な音律、同じく中国由来)を学んだり、フランスで学んだようなカデンツに帰ろうと思ったり、十二技法をこっそりやったりしていたのだそうだ。三善氏いわく「フラフラしていた」のだという。1965年のヴァイオリン協奏曲、1967年弦楽四重奏第二番あたりで、ロマン的なものを決証しようとした、とも書いている。
3)五つの童画に見る三善作品の特徴
「五つの童画」は、1968年、三善氏35歳の時の作品である。第23回芸術祭奨励賞を受賞した作品だが、三善作品が大きく変化を遂げていくまさに過渡期の作品といえる。
「(西欧との)遠いとか距離が、かえって一つの可能性でもある」という著書の中の言葉でも表されているように、西欧の音楽的伝統から自由であることを強みに、日本語の響きと呼吸を使って、三善晃氏独特の遠近感のある音が見事に描き出されている。曲のあちこちにちりばめられた変拍子は、日本語独特の「間」を生き生きと表し、ピアノの音も日本語のイントネーションをまねる。同時に、巧妙に仕組まれ繰り返され展開する動機は、数学的な美しさも持って和音の中に溶ける名曲である。
4)作詩の高田敏子先生の経歴
作詞の高田敏子氏(1916―1989年)は、1960年より朝日新聞に「月曜の詩」を連載し、広く一般に知られるようになり、本作以前にも1962年に混声合唱曲「嫁ぐ娘に」で、三善氏と共作している。
「野火の会」を1966年より主宰、1967年詩集「藤」で第7回室生犀星賞受賞。詩人として脂の乗ってきたこの時期に詩作が開始されたのが「五つの童画」である。
5)詩と曲の関係
1970年の演奏会パンフレットで三善氏は、「高田さんの心の優しさの高みに自分の小さい情感をとどかせるためには、私は、一度は「ものたちのむなしい場所を通らねばならなかった。詩句は、それで、ほとんどが、その屈曲したあたりに置かれたけれども、私は、そうして、やっと、人への確かな信や愛にたどりついたと思います。」」と寄稿している。
はっきりといえば、詩だけを読んで、そこに愛を読み解くのは難しい作品であるが、実際の曲では、確かに三善晃という作曲家の目を通した「愛」の世界が描かれている。
三善氏は他人の詩に曲をつける時の作業をこう語る。「言葉は一つひとつではなくて、それが組み込まれた文になり、行になる。そうすると『その行の中でこの言葉、この位置。それはどうしてか』ということがいつもある。言葉を入れ替えたりすれば、行も変わる。ですから、ある意味『半ば自分であり、半ば相手の詩人である』というような関係が詩との間にできるのです。」と。
前半から4曲に対比し、最後に置かれた5曲目「どんぐりのコマ」で三善氏の目は、絶望の淵にも、愛と希望、救いをその結びに置くことを選んでいる。
この「五つの童画」は、作詞家高田敏子の作品であると同時に作曲家三善晃に昇華された言葉と曲が不可分な「愛の歌」といえるだろう。
6)演奏家から見た「五つの童画」
演奏家からみた三善氏の作品の魅力は、演奏家に無限の可能性の余白を残している点である。確かに、譜面には細かな表情記号は書き込まれているのに、音楽を押しつけて来ない。
三善氏は、西欧と日本の違いを著書の中でこう述べている–「西欧の場合は『表現する側』が『風とはこういうものだ』と決めてしまう。一方、日本人は決めないで『周りに合わせて一緒に聴こう』とする癖があるんじゃないかな。(中略)日本人は聴く人と一緒になって、この谷川の風の音を一緒に聞こう、竹のしなう音を一緒に聞こうとする。決めないで『耳まかせ』『聴く人』まかせというか、『自分もその一人になる』というようなところがある。」–三善氏の作品の難しさは、そういう意味でも、日本的なのかもしれないと感じる。これが、演奏家にとっての難しさと魅力であるの所以ではないだろうか。
たくさんの手掛かりを残して私たちを自由にさせ、そして不安にさせる。手ごたえのある演奏をしたとしてもなお、別の音楽の形があったのでは?と思わせる。だからこそ、私たちは、何度も何度も、この曲を取りあげている。経験を積むごとに新しい発見があるのがこの作品である。作曲から四十数年を経てなおも輝き続けるこの曲の秘密がそこにある。
本シリーズの参考文献
・三善晃 著「遠方より無へ」白水社(1979初版・2002年再版)
・三善晃・丘山万里子 著「波のあわいに 見えないものをめぐる対話」春秋社(2004年)
・東京混声合唱団 第59回東混定期演奏会パンフレット (1970.10.26)
・三善晃 著「三善晃作品集1(解説)」 ビクター
・高田敏子 著「日本現代詩文庫106 高田敏子詩集」土曜美術出版販売(2001年)
・高田敏子 著「娘に伝えたいこと」大和書房(1972年)
以上、本シリーズ解説 文責 Sop.芳賀麻誉美
合唱初心者のための「五つの童画」~解説その5~
12月13日(火)
今回は、合唱初心者のための・・・と書きつつも、落穂ひろい的、完全、マニア予備軍のための解説です(笑)。
合唱組曲「五つの童画」
作曲:三善晃 作詩:高田敏子
もっと楽しむための(マニアの)ポイント
1.詩の解釈についての補足事項
演奏会のパンフレットに掲載される予定が、現段階ではわかりませんが、
高田敏子さんのこの「五つの童画」の詩には、高田敏子さん自身による(訳詩ではない)英語の詩がついています。
楽譜の最後に、それは掲載されているのですが、
韻を踏んだ、きちんとした英詩で、音律的に美しいのです。
たとえば、1曲目の「風見鳥」下記の部分
————–
あっちだよ
あっちむき
こっちだよ
こっちむき
————–
英詩だとこうなります。
————–
“Turn that way.”
He turns that way.
“Turn this way.”
He turns this way.
————–
こんな具合です。
英詩は英詩で、とても味がある仕上がりになっています。
また、この詩、日本語では「そのくらいはわかるよね?日本人だもん」って感じに、
解釈をゆだねられちゃっている部分も、はっきり意味が書かれているので、
内容理解の手助けにもなります。
たとえば、3曲目「やじろべえ」
—————–
影はできたが
影ばかり
やじろべえはいない
影ばかりのやじろべえ
やじろべえはいないのです
・・・
—————-
この部分の英詩は、
—————-
The shadow is born-
Nothing but the shadow-
Yajiro-be is gone.
Notheing remains but his shadow.
Yajiro-be is lost
—————–
同じ、「いない」という単語も、英語の場合、使い分けているんですよね。
gone のあとに、lostと来ると、ああ、もしかして死んじゃったのかな?とか。
両方、同じにしないあたりのセンスも、強く感じます。さすが~、ポイントですよね。
同様に、ピリオドじゃなくて、-になっているあたり、この後に、どんな文章が続くんだろう?と思わせる。
それとも、余韻?・・・
5曲目「どんぐりのコマ」
これには、とにかく、たくさん「!」が使われています。
——————-
いちばん大きなどんぐり行け
Biggest acorn, go!
——————-
こんな具合です。
命令形で、Go! the biggest acornじゃないのね?とか。
Biggest acorn, と、カンマで呼びかけといて、「go!」かあ、とか。
また、この曲に限らずなんですが、引用符の位置も、すごく大事なんです。
ここは、会話か~、とか。
段落を1段落としてある部分などに注目するなどすると、とても面白かったりします。
え~・・・だんだんと、団員向けの啓蒙Blogになってきたところで、
次回に続きます。
(次回で、五つの童画は終了し、1st「天使の構図」に続きます!!」)
文責:芳賀
合唱初心者のための「五つの童画」~解説その4~
12月10日(土)
好調に更新を続けている合唱初心者のためのシリーズ、
第4弾です!
前回までで、重要ポイント3つをご紹介し終わりましたので、
第4回目の今回、簡単な曲の内容の解説に入っていきたいと思います。
通常、曲の内容説明は、一番最初に行うのかもしれませんが、
これを後回しにした理由は、、、そう、もうお分かりですね?
前回書きました通り、この「五つの童画」の詩の解釈を単独でやることは
あまりお勧めしないからです。
曲の中で味わってなんぼ、できれば楽譜を見ながら、というのがお勧めの方法で
それと並行して、詩のみを味わうのがいいのではないかと思います。
しかし、初心者のための、と書いておきながら、内容解説を飛ばすわけにはいきません。
一番いいのは、詩をまずは載せて、読んでいただいてから、という方法がいいのですが、
著作権の関係もあって、それはできません。
あくまでも、ざっとどんな内容かをわかっていただき、興味を持っていただける程度に、内容をご紹介したいと思います。
———————-
・1曲目「風見鳥」
あっちだよ、こっちだよ、と、風の言うままになんでも見てしまった風見鳥は死んでしまいます。
なんでも知っていて、なんでも見ていたはずの風見鳥は、あらしに負けて落っこちますが、風見鳥には目も口もなかった。そんな悲喜劇が描かれています。
風見鳥がみていた風景の描写部分
「裏山の猪が子を産んだ 十二匹 畠の子いもが盗まれた 十一個 十二匹目のうりっ子が ころんでけがして死んだ」
こういった描写にも残酷さが複線的に仕組まれています。
———————-
・2曲目「ほら貝の笛」
人や海にその声をとどろかせていたほら貝も、今は忘れられ、海にも帰れず、そして、ただ、コオロギがその中で泣いているだけという無情をうたっています。
ほら貝とは、果たして何?そして誰?もしかしてあなた?それは私?
———————-
・3曲目「やじろべえ」
やじろべえはやじろべえ、いつまでたってもやじろべえはやじろべえ。でも、よく見てみると、そこにいたはずのやじろべえは、影になって、そしていなくなっています。
どんなに願っても変わることができない、そして、よく見れば、実体すらない影で、そして、消えていくのが私たち人間ではないか、と考えさせられる詩です。
———————-
・4曲目「砂時計」
私たちの記憶の断片、砂時計の落ちる砂のように、悲しい「時」も、楽しい「時」も、すべてばらばらとなって、見えなくなり、手の届かないどこかで銀色の魚となって泳ぎまわる。しかし、その魚はだれも釣れないのだと語ります。
三善先生は著書の中でも、高田敏子さんは、銀色の魚は誰も釣れないと書いてくださった・・・と、触れていらっしゃいますので、内容について、とてもひかれるもののあった作品なのかもしれません。(←あくまで推測ですが。)
記憶、時間、といったものと銀色の魚のイメージの表現は、高田敏子さんでなければできない、とても印象的なものだと思います。
———————-
・5曲目「どんぐりのコマ」
詩だけを読めば、少しのアイロニーがあります。たくさんの樫の実達。大きな樫の実も小さな樫の実も、みんな樫の木になりたいと言って飛びおりていきます。でも、樫の実の頭は、神様がちょっとつまんでとがらせた。だから子供たちはコマにして遊びます。運命を知らない樫の実達、それでも、力いっぱい「樫の木になりたい」といって、飛びおりていくのです。
曲については、前回、書いたとおり、ちょっとした言葉の使い方と曲の作り方で、大きく意味を変えて取ることができます。
胸に希望を持って「みんな」で飛びおりていくどんぐりたち。大きいものも小さいものも、落ち葉や、雲と風、子供たちと一緒に「みんな」でまわるという最後のシーンには、希望と救いが描かれています。
———————-
何度も言いますが、実際の詩を読み、曲を聴き、その中で個々人が感じるのが一番ですし、
解釈に正しい答えはありませんので、ふーん、と読み捨てていただいてかまいません。
そのあたり、ご理解いただければ幸いです!
(答えは、みなさんお一人おひとりが胸に感じればいいものだと思います。。。)
さああ、ますます、CAの演奏会に行って聞きたくなったところで、次回につづく、です。
(文責)芳賀
合唱初心者のための「五つの童画」~解説その3~
12月09日(金)
「合唱初心者」のための・・・???これが?と
つぶやきをいただいている、当企画、第三弾です!!
・・・あくまで、「うっかりCAの演奏会を聴きに来ちゃおうかと思ったり、
わざわざCAのblogを読んじゃおうかな?と考えちゃうよな『初心者』さま用の記事です。
どうぞ、よろしく!
さて、
合唱組曲「五つの童画」
作曲:三善晃 作詩:高田敏子
この作品を楽しむためのポイント3つ目です。
<高田敏子さんの詩と三善先生の曲作りについて>
「五つの童画」。童画というのだから子供向け?と思う人も多いでしょう。
しかし、この作品で子供に語らせている風景は、とても残酷な悲劇・悲喜劇が五つです。
でも、合唱作品になったとき、その形は変わるので注意しましょう。
1曲目から4曲目の4つの悲しみやあきらめ、絶望に対して、5曲目には希望が詰まっているのです。
そこには、ちょっとした秘密があります。
合唱なので、もちろん、全部の歌詞を全部のパートが歌うことはないですし、掛け合いで、一部分ずつ各パートが請け負ったり、何度も繰り返したりはするのですが、
1曲目から4曲目の語順はほぼ、元の詩の語順どおりになっているのに対し5曲目は違う作りになっています。
ここが、とっても重要ポイント!です。
いったん、言葉をバラバラにして、そして、他の4つよりも詩に自由に作曲されていることがわかります。
5曲目曲の最後は「まわれ 雲と風 子供 輪になって まわれ 樫の実 輪になって まわれ まわれ まわれ 輪になって まわれ」
元の詩の順番とは、全く違うのです。
三善先生は、あえて詩の語順を入れ替えて使って、絶望の曲を、希望と救いの曲に仕立て直しているのです。
「五つの童画」は、作曲家三善晃の目を通して、作詩家高田敏子の作品が、合唱音楽として違う作品に生まれ変わっていることが、
本当に大事な大事な点なのです。
ですから、もし、ご自身でこの曲を歌うときにも、「詩の解釈」は単独でやらない方がよい、と思います。
詩と曲が不可分にからみあっているところが、この作品が面白くて難し点なのです。
ですから、演奏会当日は、パンフレットに書かれた詩は、さっと目を通す程度にとどめておきましょう。
絶対ダメなのは、演奏聴きながら、パンフレットの詩を見て、どれどれ、どんな詩かな?っていうもの。
これだけは、絶対にやめた方が、本当の意味でこの曲を楽しめると思いますよ。
「曲を聴きながら、日本語を味わう」のが、この曲の醍醐味といえましょう。
合唱マニア予備軍のための・・・が正しい名称という話も、ますます真実味を帯びてきたところで、
次回につづきます!
(文責)Sop.芳賀

