今さらシリーズVol.5 そもそも純正律とは何か(3) 文責:はじめ



 さて、純正律ですが、感覚的に言えば、「自然で無理のない心地よいハーモニーを実現できる音律」というところでしょうか。
 理論的にはヘルツで表現される周波数の比率が、単純な整数比になるような音程で構成されている音律ということになります。

 具体例をあげると、鍵盤上のCEG(いわゆるドミソの和音)が、純正律の音程でハモるときの周波数比は、4:5:6となります。
 と、いわれてもピンと来ないので、セントの登場となります。このCEGが平均律と純正律で鳴っているときのCからそれぞれの音のセント数は次の通りとなります。


平均律純正律平均律との差
400386−14
700702+2

 これからわかる通り、純正律でCEGの和音をハモらせるためには、Eは平均律より低めに、Gは高め(というより、実際には浮かし気味)に音を出す必要があるわけです。これで、周波数比4:5:6が実現し自然な心地よいハーモニーが現出するというわけです。

 念のため、Cからハモらせるための各音のセント数を記しておきます。


平均律純正律 平均律との差

 Cを基準にしたときの、平均律と純正律の差はご覧の通りで、平均律と同じ音は基準となるCだけです。これは、純正律で音をとるのが難しいということを示しているわけではありません。
 むしろ、平均律の鍵盤で音をとることの限界を意味しています。家で鍵盤を使い単音で音をとり、その通り歌えるようになっても、それは音の概形がわかるようになったにすぎません。
 実際の音、つまり純正律上の音は、アンサンブルの現場でひとつひとつ「はめて」いく必要があるわけです。
 共通の調性感が全員に身についてくれば、純正律で音をはめるという作業はそう難しいことではありません。
 それから、他の団体の演奏を参考に聴く場合も、その演奏が必ずしもすべて純正律で演奏しているわけではないので、鳴っている音は鵜呑みにしない方が賢明です。
 そう、

「音は、現場ではめましょう。」

Cis 100112 +12
200204 +4
Es 300316 +16
400386 −14
500498 −2
Ges 600610 +10
700702 +2
As 800814 +14
900884 −16
10001018 +18
11001088 −12
12001200


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