12/21聖母マリアのカンティクム 団員による演奏会紹介3

こんにちは。はじめまして。
CANTUS ANIMAEでテナーを歌っている『ふっきー』です。

普段、日本やスペインのように合唱団の端っこで歌っている私ですが、
演奏会が近いということで、
作曲家エレディアの故郷スペインと日本、
さらに、キリスト教との不思議な縁について、ご紹介したいと思います。

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突然ですがクイズです。
日本で一番有名なスペイン人は誰でしょうか?

シャビ! とか、イニエスタ! とか聞こえてきそうですが、もっと有名な人がいます。

そう。フランシスコ・ザビエルです。 (実はスペインの方!)

ザビエル

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より

ご存知の通り、彼は日本にキリスト教を伝えた宣教師として有名です。
実はこのとき、キリスト教と一緒にグレゴリオ聖歌も伝えています。

その後、100年程で日本は鎖国に入りますが、
グレゴリオ聖歌は、当時の日本人の琴線に触れたのか、
隠れキリシタンの祈りの歌として、現代まで密かに歌い継がれてきました。
それが、近年、合唱曲の題材としても扱われている「オラショ」です。

皆川達夫氏の研究で「オラショ」の原曲となる聖歌が、スペインのマドリード図書館で見つかりました。
しかもこれは標準的な聖歌ではなく、スペインの一部で歌われていたローカル聖歌だったそうです。
「オラショ」とは、日本とスペインの音楽が「出会った」、ひとつの作品と言えるでしょう。

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さて。
再び時代を遡り、今度はヨーロッパに目を向けてみたいと思います。

エレディアの生きた時代は、
日本にキリスト教が伝わってから、鎖国入るまでの間くらい、
ヨーロッパはルネサンスの真っ只中でした。

新たな表現に燃えていたルネサンス期において、
聖母マリア、とりわけ「受胎告知」は、とても人気のあるテーマのひとつでした。
レオナルド・ダ・ヴィンチやボッティチェッリ、エル・グレコといった天才達が、絵画の世界で名作を残しています。

音楽の世界でも、グレゴリオ聖歌を定旋律として様々な作品が生まれました。
その中でも「受胎告知」に続く「マニフィカト」は、きっと人気のテーマだったのでしょう。
エレディアのマニフィカート集は1618年に出版され、
そんな時代の後押しもあったのか、スペイン中で歌われる程、好評だったそうです。

もし、鎖国という時代のいたずらがなければ、
このエレディアの「マニフィカト」は、400年前の日本で響いていた曲かもしれません。

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今回、メディオ・レジストロさんの強い情熱によって、
エレディアの作品が、400年の時を超えて、日本で演奏されます。

同じようにグレゴリオ聖歌をベースとしていても、
日本で熟成された「オラショ」とはまた違う、
スペインで成熟した「マニフィカト」を、当時の音色と同じ古楽器の響きに乗せて!

まさに、400年前に止まってしまった時間を、再び動かそうとしているかのようです。

私も合唱の一員として、
日本とスペインの音楽の懐かしい「出会い」をお聞かせ出来るよう、
演奏会まで、さらにさらに音楽を深めていきたいと思います。

そして、皆様にとっても「出会い」となるような演奏できれば幸せです。

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聖母マリアのカンティクム
~Medio Registro × CANTUS ANIMAE~

前売り券のお申し込みはこちらからどうぞ。

日時:2014/12/21(日)
開演:14:00 (開場:13:30)
会場:大和田さくらホール(渋谷)
入場料:一般4,000円(前売り 3,500円)

S.A.de エレディア:第1旋法による6声のカンティクム
S.A.de エレディア:第4旋法による8声のカンティクム
S.A.de エレディア:第1旋法による8声のマニフィカート
S.A.de エレディア:エンサラーダ
J.B.J カバーリョス:パッサカーリョス

出演:
指揮:雨森文也
器楽 メディオ・レジストロ
Rec:古橋潤一、細岡ゆき
Vn:川久保洋子、小野萬里
Va:天野寿彦
Vc:西澤央子
Lu:高本一郎
Org:能登伊津子
Perc:岩村茜
合唱:カントゥス・アニメ

#番外
~練習風景Photo:12/10 楽器合わせ前の1コマ オルガン登場!~
練習風景